杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

お陰様で「不育症学級」が増刷となりました。

2013/05/12

お陰様で、「不育症学級」の売れ行き好調につき、在庫僅少のため、第4刷として1000部の増刷が決まりました。2100円もするのに薄い本という意見もあるようですが、専門書は何万冊も売れませんので、出版社の値段設定は仕方ないと思います。私は最初、医師向けに「EBMに基づく不育症診療の実際」という本を書きました。世界中の英語の論文や、私の書いた論文をまとめ、これから不育症診療を始めようとする婦人科医向けに書いた専門書です。以前は、不育症患者にも読んでもらっていましたが、さすがに素人には難しいという事で、素人向けの解説書として「不育症学級」を書きました。この本は、内容的には「EBMに基づく不育症診療の実際」にかなり重なっているため、出版社の企画会議で危うくボツになるところだったのですが、私の担当編集者の押しで出版が決まったという経緯があります。
私は、不育症における「歎異抄」の様な本を目指したつもりです(言い過ぎか)。世界中の英語の論文を読み、そこに私の書いた英語の論文を加え、日本語に直し、医師向けに解説したのが「EBMに基づく不育症診療の実際」です。さらに、それを素人向けに解説したのが「不育症学級」になります。仏教では、釈迦の教えを書いた教典がインドから中国に渡り、中国語に翻訳され、さらにそれが日本に渡り、日本語に訳されました。そこに、親鸞が自分の考えを加え、「教行信証」という浄土真宗の聖典が書かれ、それを素人向けに解説したのが、「歎異抄」と言う事になります。私は、「歎異抄」は愛読書ですが、「教行信証」は読んだ事はありませんし、まして、サンスクリット語は読めません。皆さんも、英語の医学論文は読めないと思うので、是非、「不育症学級」を活用して欲しいと思います。「歎異抄」の様に薄い本ですが、内容は豊富であると自負しています。一行一行の言葉は、客観的なエビデンスに基づき、私の思い込みや個人的な意見による記述は排除したつもりです。
話は変わりますが、私は哲学者は、ニーチェに非常に共感をおぼえます。ニーチェの専門書も持っていますが、実は一番愛読し、評価しているのは、恥ずかしながら「まんがと図解でわかるニーチェ」(別冊宝島)という本です。こういう本を書くためには、ニーチェを完全に理解し、自分のものにしないと書けません。なかなかのものです。不育症の解説書も、著者の理解が浅ければ浅いほど、本は厚くなり、内容は難解になるでしょう。
医学は、解明されればされるほど説明は簡単になります。疾患の原因、治療法が確立すれば、それまであった色々な仮説は全て削除できるからです。不育症の解説書も、すごく薄くなる様に研究を頑張ります。
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