杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

現在の初診予約状況について。院長の嘆き...つづき

2010/06/10

現在、初診の予約は、10月末になっています。長いようですが、待ち時間がどんどん長くなっている時期は去り、やっと4ヶ月半待ちで落ち着いてきました。もっとも、受診希望者が減ったのではなく、電話してきたのに予約が10月と聞いてあきらめた人が増えたとも言えます。あまりにも予約が先なので、予約を忘れてしまった人も多く、当日予約時間になっても来院されず、私の外来も意外とヒマにしている時間もあります。
4ヶ月も先の外来を待ちきれず、何かその間に少しでも出来ることをしたくなるのも人情であり、待っている間に他院で出来る範囲の検査をしてもらっている人もいます。しかしながら、当院初診時に他院の検査結果を持参されても、結局当院でしか出来ない検査を行い、前医で既に行った検査でも、当院と異なる検査法の場合は当院のやりかたでやり直し、という事になりますので、結局治療方針が決定する時間は短縮せず、同じ項目の検査も再検査になって費用的にも余計にかかり、良いことはありません。もし他院を受診しても、最終的には当院で診療を希望されている方は、待っている間に出来る検査を行うことはあまり意味が無いように思います。
何故私が他院の検査結果を信用しないかと言うと、私は自分で試験管を振り、血液検査を行ってきた経験があるからです。抗PE抗体や第XII因子抗体などの新しい抗体も発見し、その検査法を開発してきました。特に、血液凝固系検査の難しさ、繊細さは身にしみて分かっています。
先ず、採血の仕方が重要です。血液は採血した瞬間から凝固しようとします。したがって、血管が細くて採血に時間がかかる場合は、凝固系検査の結果に影響がでます。当院では、採血困難の人は私に報告がありますので、その様な目で検査結果を解析します。また、採血時に10本ちかく採血する病院がありますが、その様な採血をすると、後半の血液はかなり凝固系が亢進しており、信用出来ません。当院では、研究所を併設しているので、少ない本数の採血で、採った血液を処理する事により、多くの項目の検査を行うことが可能です。また、採血の順番も重要で、凝固系検査は一番安定している2本目で採るようにしており、さらに採った血液はそっと撹拌しています。雑に撹拌すると、血液は凝固してしまい、変な結果がでます。この様にして採血した血液は、即座に隣の研究所で処理し、検査会社に提出しています。特に、抗リン質抗体は、採血した直後に遠心分離して、血小板を除去しないと、活性化血小板に抗体が吸着されてしまい、正しい抗体価が得られません。一般のクリニックでは、採った血液はそのまま夜まで放置し、夜検査会社が回収に来て、その後やっと処理されます。この様なやり方では、正しい検査結果を得る事は不可能です。
以上の様な注意事項は、他院ではなかなか守ることが出来ないのが実情です。大学病院でも、私がいた東海大学病院は、私が採血の仕方から、検査法まで気を遣って指導してやっと検査の質を保っていました。そもそも、その様な注意事項がある事を知っている医師も皆無です。
また、検査時にホルモン剤を飲んでいたり、排卵誘発剤を使用していたり、ホルモン関係のサプリを飲んでいたり、授乳中であったり、妊娠していたりすると、検査結果に影響がでます。当院では、そこまで問診した上で検査を行っています。
したがって、例え他所の大学病院で不育症検査を行って、その検査結果を持参されても、私にはどこまで信じて良いのか分からないのです。
しかしながら、全ての検査を当院でやり直すと、それなりに費用がかかりますので、悩むところです。最初から当院で検査をして下されば、私的には自信を持って診断が出来るのですが、他院データを基に診断するのは、一抹の不安があります。
以上、現在当院の初診の予約をお待ちの皆様の参考になれば幸いです。


ところで、以前、院長の嘆きというのを書いたら、多くの方から、「先生のブログ見ました」と言われましたが、「あれはHPであり、ブログではありません」と憮然として答えることにしていたのですが、これはやっぱりブログなんでしょうか?
ま、どっちでもいいですけど。
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