杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

血液凝固系検査、TATについての注意事項。

2016/06/21

最近、前医にて、TATという検査を受け、異常高値のため、アスピリンやヘパリン療法の方針となった方が何人も当院を受診されています。TATとは、何らかの原因で血液凝固系が亢進し、血栓を作る方向に動くと、高値になります。私も以前、全員に測定していましたが、約3000人測定し、測定を止めました。あまり診断に有効では無かったからです。TATが高値というのは、DIC、血栓症などかなり重篤な状況を意味し、不育症患者では非常に高値になることはありません。私がTATを測定していた理由は、TATが高値の場合は、多くは採血が適切に行われていない事を意味するからです。例えば、血管が細くて採血に時間がかかり、注射器の中で血液が凝固した場合、採血の後の処理、管理がいい加減で、採血管の中で血液が凝固した場合などに高値になります。つまり、TATが高値の場合は、患者の生体内で血液が凝固したと考える前に、採血した後で固まった可能性を考える必要があります。私は、TATが高値の場合に、一緒に測定した血液凝固系検査の結果は、信用しない事にしています。ところで、今まで、前医でTAT高値と言われ、当院を受診した人で、当院の再検査でTATが高値の人は、いません。血液凝固系検査を正確に行うには、熟練した検査技師と適切な設備が不可欠です。当院は、そのために不育症研究所を併設しているのです。
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