杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

「ペンはメスよりも強し」ー当院不育症研究所の存在意義

2017/02/25

現在、当院の初診予約は2ヶ月待ちです。一時は6ヶ月待ちまで行ったのですが、スタッフ増員やシステム改革で、初診患者の受け入れを1.5倍に増やし、ここまで改善する事が出来ました。行く行くは、1ヶ月待ちぐらいになれば良いと思います。
 当院は、不育症研究所を併設している唯一の不育症診療所です。一般不育症外来は、検査を検査会社に外注しているだけなので、検査会社が請け負っている検査しかできませんし、一度血液を検査会社に渡したら、その後の検査は検査会社にお任せで、精度管理はできません。どんなに検査項目が多い不育症外来も、所詮検査会社の提示する検査項目の範疇です。しかしながら、当院は、独自の検査や、検査会社が対応出来ない特殊検査を院内で検査できる唯一の不育症専門クリニックです。欧米に検査を発注しているクリニックもある様ですが、当院は欧米から冷凍試薬を直輸入して検査に使用しています。
 当院の研究所は、AMED(日本医療研究開発機構)という国の研究機関から不育症研究機関として認定され、国の予算で研究費を戴いて不育症研究を行っており、優秀な研究員と、検査技師が日々、研究に切磋琢磨しています。そこで培った知見と技術を結集し、皆さんの血液検査を行っているのです。当院の検査の質は高く、他院で同じ検査を施行しても、信頼性に差があります。特に、血液凝固系検査は、精度管理の差が大きく結果に影響します。その様な地道な努力は、表に出ないので、患者さんには分からず、当院の検査結果と他院の検査結果を同格に比較され、時には歯がゆい思いもします。
 その様な体制を取るためには、人を育てる必要があり、一朝一夕には出来ません。当院も開業してもうすぐ8年になります。やっと、世界で最先端の不育症研究所兼、検査室が実現できたと思います。私がアメリカの研究所で発見したキニノーゲンを認識する抗PE抗体を初めとして、最近は不育症だけでなく、着床障害の原因と思われるEGFを認識する抗第XII因子抗体と抗プロテインS抗体も発見し、当院の検査に取り入れています。
 当院の初診予約の待ちが長いので、もっと医者を増やしたり、分院を作り、多くの患者さんを待たせる事なく診て欲しいという要望もありますが、それをしたくても出来ないのは、人を育てるのは時間がかかるからです。規模を広げて診療の質が落ちるのは、私には容認できません。私は、「広く浅く」ではなく、「狭く深く」の性格です。という事で、「医療と屏風は広げすぎると倒れる」という結論になるのです。それでも当院は、開業8年弱で、一万一千人以上の初診患者を診ています。一人で診療してきたにしては非常に多いと言えますが、日本中の不育症患者の数から言えば少ないです。でも、一人の医者がどんなに頑張っても、一生かけてやっと万単位の患者数を診るのが限度です。だから、当院には研究所があるのです。私が研究で発見した不育症の新しい原因を論文にすれば、世界中の人が助かります。現に、私が発見した抗PE抗体は、検査法も私が開発し、特許を取らず、検査会社に無償でやり方を教えました。今、日本中の不育症患者の多くは、この検査を受けています。私の知らないところで多くの不育症患者が、その恩恵を受けています。そこで、「ペンは剣よりも強し」の私バージョンで、「ペンはメスよりも強し」と私は言っています。結局、自分で診られる患者数は限りがあるので、クリニックを大きくするのではなく、研究して新しい不育症の原因を究明し、学会で発表し、英語の論文を書いて世界中に公表するというのが、私の屏風の広げ方なのです。

 信頼性の高い検査、診断をご希望の方、他所では出来ない最先端の検査をご希望の方の来院をお待ちしております。

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