杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

甲状腺検査において、TSHが2.5以上の場合、治療はするべきか。続報。

2018/07/22

以前にも当院のHPに紹介した通り、2011年、2012年の米国ガイドラインを反映し、本邦に於いても妊娠前~妊娠初期より積極的にTSH(甲状腺刺激ホルモン)を2.5以下にコントロールする治療が広く行われてきた。

しかしながら、最新の米国甲状腺学会ガイドライン2017では、TSHの基準値は施設ごとに設定するように記載されており、TSH 2.5以上を異常とする立場は取らなくなった。新しいガイドラインを見ると、不育症スクリーニング検査でTSH2.5-10.0の場合は妊娠判明後に直ちにTSHを測定し、妊娠初期のTSH2.5-4.0の場合、抗TPO抗体陰性であれば、治療は不要とされている。抗TPO抗体陽性の場合は、妊娠初期のTSH2.5以上でチラージン投与の方針であり、抗TPO抗体が陰性でもTSH4.0以上であれば、チラージン投与の方針となっている。

妊娠初期のTSHは、非妊娠時から0.5ぐらい一過性に低下する事が知られている。従って、当院の非妊娠時の検査では、TSH3.0までは、例え抗TPO抗体が陽性であってもガイドライン上は治療不要なので、当院のTSHの基準値を3.0未満とするのが妥当な線であると考える。


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