杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

新型コロナウイルスワクチンについて、院長から当院の患者さんへメッセージ

2021/07/03

最近、皆さんから新型コロナウイルスワクチンに関する質問を沢山受け、感じたことをまとめます。
先ず、皆さんの多くは、ワクチンの副作用で血栓症が起きるらしい事は知っていますが、本当に新型コロナウイルスに感染した場合に、致命的な血栓症が起きやすい事を知っている人があまりいない印象です。
昨年、新型コロナウイルス感染で、血栓症を起こす頻度が高い事が分かりました。死因のかなりの部分を占めている様です。そこで、最近では、重症者にはヘパリンの投与が勧められています。当院の患者さんで、アスピリンやヘパリン療法施行中に新型コロナウイルスに感染したら、抗凝固療法は続行して下さい。また、主治医に血栓症のリスクが高い可能性がある事を伝えて下さい。
最近、新型コロナワクチンの副作用で、稀に血栓症が起きる事が分かりました。ただし、それはアストラゼネカ製のワクチンです。また、同じアデノウイルスベクターワクチンであるジョーンソン&ジョーンソン製のワクチン(申請中)でも、同様の事が報告されています。現在、日本で使われているファイザー製とモデルナ製では、報告されていませんので、現時点で当院の患者さんが、ワクチンの副作用による血栓症を心配する必要はありません。アストラゼネカ製による血栓症の副作用は、ヘパリン投与時の副作用であるヘパリン起因性血小板減少症(血栓と血小板減少をひき起こす)と類似した病態である事が明らかになってきました。その場合、当院の患者さんがアストラゼネカ製ワクチンを使用した場合でも、他の人より血栓の副作用が出やすいと言う事は無いはずです。これは、本当の新型コロナウイルス感染で起きる血栓症とは、異なる機序です。当初、それが分からなかったので、アストラゼネカ製ワクチンを打った後に血栓が発症した患者に対し、ヘパリンを使用したために、ダメ押しした形になり、死亡した様です。今では、ヘパリン以外の抗凝固剤を使用する事になっています。
以上の事から、当院の患者さんがワクチンの血栓症の副作用を恐れてワクチン接種をためらう必要はないはずです。むしろ、本当に新型コロナウイルスに感染した場合の致命的血栓症のハイリスク患者に該当する可能性があるので、ワクチンを打った方が安全であると思います。
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