杉ウイメンズクリニック

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アスピリンはいつまで飲むべきか。28週?36週? 最近の動向を解説しました。
2019/05/26(日)
 アスピリンは、鎮痛解熱剤として100年に渡り広く使われていますが、1967年に抗血小板作用が発見され、今では低用量アスピリン療法は、抗血小板薬として広く使われています。抗血小板作用は、普通の鎮痛解熱剤の用量ではなく、低用量でないと効かないので、昔は、含有量が81mgの低用量である「小児用バファリン」が適応外で使用されていました。しかし、適応外使用の改善から、 日本循環器学会など関連学会から強い要望が高まり、厚生省に要望書が提出され、2000年に承認され、販売名称を変更し、「バファリン 81mg 錠」となりました。 今は、バファリン配合錠A81という名称になっています。その後、同じ低用量アスピリンとして、バイアスピリン錠100mg2005年に販売されました。ちなみに、現在小児用バファリンという商品名で市販されているものは、アスピリンではなく、アセトアミノフェンが入っていますので、不育症には無効ですのでご注意ください。
 問題は、この時に、薬剤添付文書に、妊娠28週以降は禁忌と書かれたことです。当時、既に我々不育症専門医は、低用量アスピリンとして「小児用バファリン」を国際的標準投与法に従い、妊娠36週まで出していたので、困惑しました。アスピリンを妊娠36週まで投与する事の安全性は、既に国際的に確立しています。規則を守るのか、エビデンスを守るのか、医師も判断が分かれています。
 日本ではまだ一般的ではありませんが、欧米では、妊娠高血圧腎症のハイリスク症例に対して低用量アスピリンが投与されており、国際妊娠高血圧学会でも、2017年の治療管理指針で、アスピリンを妊娠初期から36週までの投与を推奨しています。一方日本では、「抗リン脂質抗体症候群合併妊娠の診療ガイドライン2016」に、アスピリンは妊娠28週以降は禁忌だが、必要があれば患者の同意をえて36週前後まで投与と書かれています。
 そして今回、院長も班員であった、AMED不育症研究班(旧厚労省研究班)の「不育症管理に関する提言2019」では、次の様に書かれています。1011ページを参照ください。

 

fuiku.jp/common/teigen001.pdf

 

投与期間は我が国の添付文書では分娩前12週の投与は禁忌となっているため、妊娠28週までとするが、欧米では36週までの投与が一般的である。このような制限がなされているのは日本のみであるので、班員としては薬剤添付文書の改定を希望している。妊娠28週以降にアスピリン投与することで、胎児動脈管閉鎖が危惧されていたが、低用量アスピリンであれば、動脈管収縮がない事が研究で報告されている(Miyazaki, et al. J Obstet Gynecol Res. 2018;44:87-92)。そのため必要と判断すれば患者の同意を得て妊娠28週以降も継続してよいが、妊娠36週までを 目安とする。分娩時の出血傾向や麻酔合併症について配慮し、各施設の状況により 判断する。

 

以上、最近の低用量アスピリン療法の動向を解説しました。

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