最近、β2GPIとHLAクラスIIの複合体に対する自己抗体(抗β2GPI/HLA-DR抗体)の測定が開発されました。ネオセルフ抗体と呼ばれていますが、実は、従来からある抗β2GPI抗体の一測定法であり、新しい抗体ではありません。当院では既に、同じ抗β2GPI抗体として、抗カルジオリピン-β2GPI複合体抗体IgG、抗β2GPI抗体IgG、抗β2GPI抗体IgMの3種類を測定しています。
ネオセルフ抗体の測定は、日本で開発され、私の不育症研究仲間の神戸大学のグループが一生懸命研究しています。当院も、共同研究に誘われたのですが、ネオセルフ抗体一項目の検査費用は、当院の他の抗β2GPI抗体の7倍の価格であり、あまりにも検査費用が高額なため、採用を見合わせています。(4月10日追記:ネオセルフ抗体検査出来るようになりました。)
その代わり、当院ではオプション検査として、抗β2GPI抗体IgG、IgMを別の検査キットでも測定出来るようにしました。これで、当院での抗β2GPI抗体の測定法は、従来の3項目から5項目に増えます。この体制で、ネオセルフ抗体(抗β2GPI/HLA-DR抗体)の測定を補う方針です。但し、初めから全員に抗β2GPI抗体5項目を測るのは過剰と思うので、先ずは、従来通り、3項目を測定し、希望のある人や原因不明の人に、オプション検査として新しい抗β2GPI抗体IgG、IgMを追加して測定する事にします。この5種類の抗β2GPI抗体を全て測定しても、ネオセルフ抗体1項目よりもかなり安価です。現時点で、ネオセルフ抗体の方が他の抗β2GPI抗体よりも優れていると言うエビデンスは無いようですし、ネオセルフ抗体はIgGのみでIgMは測定できないという欠点もありますので、しばらくは、この体制で行きたいと思います。(4月10日追記:ネオセルフ抗体検査出来るようになりました。高額な検査ですが、希望があれば当院で検査可能です。)
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