当院研究所が発表した主要な研究論文と研究経過【過去コラムより】
ホームページリニューアルに伴い、過去に掲載した当院研究所が発表した研究論文や研究経過に関するコラムをまとめました。
論文のPDFやURLのリンクを貼っているので、興味のある方は是非読んでみてください。
【目次】
- 当院のEGF関連抗体の論文が一流国際医学雑誌に掲載されました(2025/10/07)
- 妊娠高血圧症候群を発症した患者に、当院独自の検査であるEGF関連抗体の陽性率が有意に高い事が分かりました(2025/08/06)
- 当院のフォスファチジルセリン/プロトロンビン抗体 (抗PS/PT抗体)に関する論文が、一流国際医学雑誌に掲載されました(2024/11/21)
- 当院のプロテインSに関する論文が、一流国際医学雑誌に掲載されました(2022/01/12)
- 当院の抗第Ⅻ因子抗体に関する論文が、一流国際医学雑誌に掲載されました(2019/09/06)
- 当院の抗プロテインS抗体に関する基礎的研究の論文が、国際血栓止血学会のオフィシャルジャーナルに載りました(2018/02/10)
当院のEGF関連抗体の論文が一流国際医学雑誌に掲載されました(2025/10/07)
当院独自の検査項目であるEGFに対する自己抗体が、不育症、着床障害、妊娠高血圧などを引き起こすと言う、EGFを認識する自己抗体の病原性に関する当院の仮説を論文にしました。
J Reprod Immunolと言う生殖免疫学の国際医学雑誌に掲載される事になりました。
また、コラムの「EGF系の破綻による不育症・着床障害について」でも詳しく解説しています。
妊娠高血圧症候群を発症した患者に、当院独自の検査であるEGF関連抗体の陽性率が有意に高い事が分かりました(2025/08/06)
当院と日本大学の共同研究で、妊娠高血圧症候群など、周産期救急患者とEGF関連抗体の関係を調べています。
今回、妊娠高血圧症候群の患者で、抗プロテインS抗体、抗第Ⅻ因子抗体など、EGF関連抗体の陽性率が有意に高い事が分かりました。
着床障害や不育症でなくても、妊娠高血圧症候群の既往の方は、再発予防のためにも検査をした方が良いかも知れません。
当院のフォスファチジルセリン/プロトロンビン抗体 (抗PS/PT抗体)に関する論文が、一流国際医学雑誌に掲載されました(2024/11/21)
抗PS/PT抗体は、抗リン脂質抗体の一つで、最近、注目されています。
不育症のリスクファクターとしてエビデンスが蓄積されていますが、その病原性は未だ不明です。
今回、我々は抗PS/PT抗体の新しい病原性を発見し、報告しました。
新しい病原性とは、抗PS/PT抗体がEGFを認識するというものです。
抗PS/PT抗体と抗EGF抗体が両方陽性の場合、子宮内膜の血管新生を邪魔して良い内膜が出来なくなるり着床障害の原因になっている可能性があります。
また、胎盤血管新生を邪魔して胎盤形成不全による流産を起こす可能性があります。
当院が提唱するEGF関連抗体の病原性に関する仮説が正しければ、不育症だけでなく、着床障害の原因にもなり得ます。
▼抗PS/PT抗体の論文
Aoki A, Sugi T, Kawana K, Sugi T, Sakai R. Cross-reactivity of antigenic binding sites of antiphosphatidylserine/prothrombin antibodies in patients with pregnancy loss and epidermal growth factor. J Reprod Immunol.2025;167:104399.
当院のプロテインSに関する論文が、一流国際医学雑誌に掲載されました(2022/01/12)
今回の論文は、当院で行っている「プロテインS比活性」という検査が、不育症の検査として有用である事を世界で初めて報告したものです。
また、当院が発見し測定法の開発を行った「抗プロテインS抗体検査」が不育症の検査として有用である事は既に報告済みですが、これに加えて着床障害検査としても有用である事を世界で初めて報告した論文です。
▼プロテインS比活性、抗プロテインS抗体の論文
Sato Y, Sugi T, Sakai R, Kuma H. The role of epidermal growth factor-like domain-related abnormalities, protein S Tokushima, and anti-protein S autoantibodies in pregnancy loss. 2022; 150: 103476.
当院の抗第Ⅻ因子抗体に関する論文が、一流国際医学雑誌に掲載されました(2019/09/06)
当院で検査している抗第Ⅻ因子抗体ですが、その病原性につき、今まで幾つかの論文を国際医学雑誌に報告してきました。
この論文では、新しい病原性である「抗第Ⅻ因子抗体が第Ⅻ因子のEGF様領域を認識すること」を発見し、TH Openという血液凝固分野の医学雑誌に論文を投稿したところ、掲載されました。
論文は無料で閲覧できます。
この抗体は、当院でしか測定できません。
今回、新しい病原性が見つかった事により、他院で原因不明であった不育症、着床障害の人の診断、治療に貢献できる事を期待しています。
当院の抗プロテインS抗体に関する基礎的研究の論文が、国際血栓止血学会のオフィシャルジャーナルに載りました(2018/02/10)
当院では、当院独自の検査として抗プロテインS抗体の測定を行っています。
この抗体は、目下、当院研究所に於いてその病原性などについて基礎研究中です。
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)科学研究費(旧厚労省科学研究費)を国から頂き、研究してきた成果を論文にまとめ、RPTH誌と言う国際血栓止血学会のオフィシャルジャーナルに投稿したところ、論文が掲載されました。
一流医学雑誌に論文が載るのは非常に難しく、当院の研究が国際的に認められた事になり、大変名誉な事です。
この研究成果は、既に皆さんの診療に生かされています。
今後も、世界の最先端の研究、診療を心がける所存です。