杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

お陰さまで「 不育症学級」売れ行き好調、在庫僅少につき、増刷予定です。(院長の嘆きも付いています)

2010/06/27

先日、出版社から連絡があり、売れ行き好調で、在庫僅少につき、「不育症学級」が増刷になるそうです。ありがとうございます。
本を出版するという事は、それなりのリスクもあります。間違った事を書けば出版社に迷惑をかけますし、赤字にならない程度には売れる本を書く義務を背負います。今回は少しホッとしました。
ところで本日、アマゾンで下記のごとく「これはひどい」という題の不本意なレビューを見つけました。


大学教授が書いたとは思えない。
染色体異常の事を全く理解していない。
ロバートソン転座の理論的流産値は66%? 全くの嘘。ロバートソン転座では、モノソミーを起こした受精卵は着床すらしないから、理論的には流産する受精卵の割合は33%。
相互転座の保因者では配偶子の核型は4種類しか無い?全くの嘘。実際には14種類ある。理論的流産率は50%?ロバートソン転座より相互転座の保因者方が流産しにくい?逆でしょう。相互転座の保因者の方がロバートソン転座の保因者より流産率が高い事は名古屋市大の杉浦氏の論文を読めばすぐにわかるのだが…


これに対する私のコメントを早速載せました。下記の通りです。


染色体転座の流産率に関しては、理論値を鵜呑みにした誤解が多くあります。そこで、あえて今までの誤解を説明し、その後のページで理論的流産率を否定すると言う文脈になっています。このレビューは、前半の部分しか読まずに書かれています。
この本は、医学書ではありません。あくまでも素人向けの読み物です。したがって、興味のある疾患のページだけ読んで誤解しないように、あえて目次も索引も付けていません。最初から最後まで、読み物として通して読んで頂きたいです。
ちなみに、名古屋市大の杉浦氏の論文などを含めた詳細な解説は、「EBMに基づく不育症診療の実際」をお読み下さい。


以上のコメントを実名で書きました。しかしながら、その後、私の名前が削除され、匿名に変わっていました。アマゾンの方針なのでしょう。私は、匿名のやりとりは嫌いですので、上記コメントは非表示にしました。


私の不育症学級は、私が毎月当院で行っている不育症学級を忠実に再現した本です。したがって、最初から最後まで通して読むように出来ています。医学書ではありませんので、興味のある部分だけ参照する事は不適切です。だから、あえて目次や索引を付けていないのです。染色体転座の流産率は、今回のレビューに書かれているように誤った理論的流産率が一人歩きし、それを根拠に着床前診断と言う新しい技術が行われています。私の本を読んだ人はご存知のとおり、もう少し読み進んでくれれば、その後でばっさりと染色体転座の高い流産率について切り捨てているのですが。


不適切な匿名のレビューのせいで売れ行きが落ちると、折角増刷を決めてくれた出版社に迷惑がかかるので、ここで反論しておきます。


ブログの様なHPを持っていて良かったかも。
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