杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

年頭所感:真実を知りたい方へ。

2021/01/03

明けましておめでとうございます。コロナ禍の中、正月もあまり実感がありませんが。当院は初診患者の2割が海外、地方からの飛行機、新幹線組だったので、その人達が依然として戻って来ないので、初診枠はかなり余裕があります。でも、私も還暦を超えて無理がきかなくなってきたので、ちょうど良いかも知れません。

私の所属する国際血栓止血学会では、新型コロナと血栓症の関係を世界中の科学者が挙って研究し、論文を出しています。PCRなんて、比較的新しい検査法なのに、すっかり一般化し、科学の進歩に驚きます。ワクチンの開発も着々と進んでおり、人類の危機を救えるのは、やはり科学者であると再認識しました。これを機会に、日本でも、もう少し科学者が見直される事を期待しています。最近の日本は、博士があまり尊敬されていない気がします。医療の世界でも、医学博士よりも専門医みたいな。

私も博士号を持つ科学者として、当院の目標は、真実を知る事です。流産、死産、着床障害の本当の原因を解明し、本当に有効な治療を開発したい。そのためには、質の高い研究が重要と言えば格好良いのですが、実は、一番大切な事は、地味に正確な検査に尽きます。当院は、不育症研究所に検査、研究部門の検査技師が常時待機していて、皆さんから採血した直後に血液の処理を始めます。試験管を振るのは、当院の研究を担当している研究スタッフで、国際一流ジャーナルの論文レフリーに鍛えられています。特に血液凝固系検査は、採血した瞬間から凝固系が活性化するため、この処理を怠ると正確な検査データを手に入れる事は出来ません。これが可能なのは、小回りの効くクリニックです。准教授であった私が大学病院での不育症診療に限界を感じ、開業した理由の一つです。でも、このこだわりは、皆さんや他院の医師にはなかなか分かって貰えません。当院の検査結果を他院で再検査して評価、セカンドオピニオンされる事もある様ですが、私的には不本意だったりします。

信頼し得る検査データを使って自信を持って診断すれば、治療方針も自信が持てます。自信を持って診断し、治療すれば、安易に方針を転換する事もありません。診断を疎かにして治療を優先すると、治療方針が場当たり的にコロコロ変わり、不安になります。過剰な治療をすれば診断しなくても結果が出る、結果が出れば文句は無いだろうと言う考えは、私は受け入れられません。そのやり方は、医療とは言えません。不育症専門医でなくても誰でも出来ますし、そのやり方では、いつまで経っても真実は解明されず、不育症は原因不明の難病のままです。結果が出ればまだ良いですが、結果が悪かった場合は診療が行き詰まり、問題です。

私が知りたいのは真実です。当院研究所では、抗PE抗体、抗第XII因子抗体、抗プロテインS抗体、抗EGF抗体など、新しい検査をどんどん開発し、一流国際ジャーナルに論文を発表し続けています。皆さんの診断に大いに役に立っていると実感しています。不育症の新しい原因を解明し、原因不明不育症の方の役に立ちたいです。残念ながら、まだまだ原因不明の方も多いですが、それもまた真実です。真実を知れば、たとえ良い結果が出なくても、少なくとも納得が行くと思います。

当院は、真実が知りたい人の来院をお待ちしています。


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