杉ウイメンズクリニック

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インフォメーション

アスピリンを着床前から飲むと、着床の邪魔をするどころか、生児獲得率が上昇する可能性がある。その具体的な証拠。
2023/02/23(木)
以前、2021.7.15.の当HPでも紹介しましたが、改めてLancetという超一流誌の論文をまとめましたので、紹介します。1000人以上の女性に、約半年間、毎日アスピリンか偽薬を飲んで貰い、生児獲得率を報告しています。着床前からのアスピリンが生児獲得率を上昇させたかは兎も角として、少なくとも、着床の邪魔はしていない事は明らかです。

www.sugi-wc.jp/column/webdir/259.html

さらに、世界的に権威のあるコクランレビュー2020のデータを紹介します。胚移植の周期の生理2日目からアスピリンを開始した時の生児獲得率のデータです。右のグラフのOdds Ratioの菱形が、1より右にあります。これは、アスピリンが有効である事を示します。少なくとも、着床の邪魔をしていないのは確かです。

www.sugi-wc.jp/column/webdir/260.html

以上、紹介したデータは、対象女性をランダムに半分にしてアスピリン、偽薬を投与した成績です。血液凝固系検査で異常のあった人達ではありません。従って、アスピリンが不要の人も多く混ざっているため、アスピリンの有効性ははっきりしませんでしたが、少なくともアスピリンが着床の邪魔をする事がない事は明らかです。当院は、血液凝固系検査で異常のあった人を選んでアスピリンを投与しているので、もっとアスピリンの有効性がはっきりすると思われます。全員にアスピリンを着床前から投与してもあまり意味はありません。きちんと検査し、診断し、必要と思われる人を選んで投与する事が上手くいくコツです。


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