杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

当院の超音波と映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と「シュレディンガーの猫」

2022/11/06

当院の超音波は、かなり上級機種を使っています。非常に鮮明に写るので、診察していて快適です。当院の患者さんに聞いたところ、当院を受診して良かったと思う点のかなり上位に超音波の画質が綺麗と言うのがありました。胎児が良く見え、元気な事が素人目にも分かるので、安心感が違うそうです。院長の腕より超音波の性能かい!とツッコみたくなりますが、まあ現実はそんなものかも知れません。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という映画は、皆さんも観たことはあると思いますが、主人公が、友人の科学者、ドクが作ったタイムマシンで過去に行き、自分の両親が結婚できる様サポートするのですが、サポートが上手くいかないと、自分と兄弟が写った写真の写っている人物が消えかかるのですが、上手くいくと写真は戻ります。私も毎日、皆さんの胎児超音波をしていますが、いつもこの映画を思い出しています。鮮明な胎児の写真を撮れば撮るほど、胎児は実在の者としてこの世に存在でき、神の世界に戻れなくなる様な気がしています。既にこの世に存在していると言う証拠を増やせば増やすほど、あの世に戻れなくなる様な気がします。特に、綺麗な4Dの写真が撮れた時は、もう産まれたかの様な錯覚に捉われ、もう大丈夫と思えます。他院の超音波写真を見ると、ボーッとしていて、不鮮明で、何か心配です。当院の超音波でこっちの世界に引き寄せたくなります。ちなみに、映画に出てくるタイムマシンを作った科学者、ドクは、大学の研究室に所属せず、自分で勝手に研究して成果を出している所が、私は勝手に親近感を持っています。

私が超音波の写真を撮る時、こんなメルヘンチックな事を考えていると思われるかも知れませんが、実際は、写真を撮ることで流産率が減るのでは無いかと少し妄想しています。もしかしたら、量子力学的には、あり得るかも知れません。量子の状態はそもそも不確定的ないし確率的であり、事象は重なり合った状態で存在し、それを人間が観測することによって事象が収縮して結果が定まるという、不確定性原理が本当なら、そう言うこともあり得ます。量子論で言うと、胎児は観測するまでは生きた状態と死んだ状態が重なり合っていて、観測するまで物事の状態は確定しません。観測した瞬間に生死が確定します。これをコペンハーゲン解釈と言います。そんな変な話があるかと、シュレディンガーは「シュレディンガーの猫」と言う思考実験でそれを否定しようとしましたが、その後、ジョン・スチュワート・ベルは、初めから状態が決まっていた場合と、見た瞬間に状態が決まった場合では、ばらつき方が異なる事を数学的に示し、さらにフランスの物理学者、アラン・アスペによりコペンハーゲン解釈が正しいと言うことが証明されました。アラン・アスペはこの時の成果から、今年、ノーベル物理学賞を受賞しています。超音波で観測し、胎児が元気な事を何度も確認した方が、量子論的には流産率が下がるかは、分かりません。誰か、量子力学に詳しい人がいたら教えて下さい。

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