杉ウイメンズクリニック

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不育症、習慣流産、反復流産 杉ウイメンズクリニック | 院長コラム

ヘパリン自己注射の対象患者について

2011/12/22

ヘパリン自己注射の適応基準を下記に列挙します。不育症の治療としては、認められていません。

自己注射の適応となる患者は、以下の(1)~(6)すべてを満足していることを確認してください。

(1)ヘパリンに対してのアレルギーがなく、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の既往がないこと。

(2)他の代替療法に優る効果が期待できるヘパリン治療の適応患者であること。

(3)在宅自己注射により通院の身体的、時間的、経済的負担、さらに精神的苦痛が軽減され、生活の質が高められること。

(4)以下の①~③のいずれかを満たし、担当医が治療対象と認めた患者

① 血栓性素因(先天性アンチトロンビン欠乏症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、抗リン脂質抗体症候群など)を有する患者

② 深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症既往のある患者

③ 巨大血管腫、川崎病や心臓人工弁置換術後などの患者

なお、抗リン脂質抗体症候群の診断における抗リン脂質抗体陽性は国際基準に則るものとし、抗CLβ2GPI 複合体抗体、抗CLIgG、抗CLIgM、ループスアンチコアグラント検査のうち、いずれか一つ以上が陽性で、12 週間以上の間隔をあけても陽性である場合をいう。現在のところ抗PE 抗体、抗PS 抗体陽性者は抗リン脂質抗体陽性者には含めない。

(5)患者ならびに家族(特に患者が未成年者の場合)が、目的、意義、遵守事項などを十分に理解し、自己注射を希望していること。

(6)医師、医療スタッフとの間に安定した信頼関係が築かれていること。

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